遊牧民族であるベトウィンが住むテント

羊肉が十分に煮えた頃、奥さんがパンを焼きはじめました。焼きあがったパンを器代わりにし、ライスと羊肉をのせ、そしてヨーグルトの煮汁をかけます。これでマンサフの完成。羊肉特有の臭みはありませんが、ヨーグルトの酸味とライスの相性は…、日本人には正直言って辛い。子供たちがマンサフを食べられるのは、来客がある時だけ。来客用のちょっと贅沢な料理なのです。道理で子供たちが歓迎してくれたわけです。

「大変なこともあるけど、砂漠の生活は苦にならないよ。ベトゥインの文化を私も子供たちも継承していかなくてはいけないと思っているよ。神のご加護で十分な生活ができている。これ以上望むことはないよ」とハサンさん。

ヨルダンの国土の8割は砂漠。砂漠の暮らしは、日々同じことが繰り返される。しかし、光や風が砂漠の表情を一時も同じものにしなしように、そこで暮らす人々は、穏やかな暮らしの起伏を感じとり、喜びに変えている。その幸せこそ、尊いものに思える。